本日は生憎の天気でしたが、地盤調査をしております。

私が建築を始めた頃は、調査員の方が貫入ロッドの上に100kgの重りを乗せて、貫入初期はそのロッドが倒れない様に押えながら手で回す方式で、100kg分の重りを測定地点まで手で持ち運び、重りを載せて手で貫入ロッドを回す、大変な作業でした。

地盤調査
スウェーデン式サウンディング

今はキャタピラーで自走する機械に、ロッドを回転させるモーターが付いており、重りもつけたまま、測定地点まで自走します。

以前にこの近くで新築したときには、支持盤が5.5mも下にありまして、当然この現場も、地盤は何かしなければ行けない状態では有る事は、予想しておりました。

地盤調査
スウェーデン式サウンディング

5mは覚悟していたのですが、3mで支持地盤が出てきております。
今まで、みるも簡単に落ちていたスクリューポイント(先端の鏃みたいなもの)が、回転を掛けられたままでも落ちなくなりました。
調査員の方がロッドから伝わってくる音を聞いております。

「砂質です。それも、かなり細かい感じです。」

この五感を使うところ、その昔、手で貫入させていたときと同じ感触なのです。
職人技で、なんとも良い雰囲気です。

ロッドに回転を加えても貫入していかない場合は、ロットの頭を打撃します。

地盤調査
スウェーデン式サウンディング

地質の巻いている地盤では、それ程、大きくない石などで貫入が止まる場合があり、打撃を加える事で、貫入が再開する場合もあります。

今回は5ヶ所の測定ポイントを調査いたしまして、5ヶ所とも3mで貫入できない地盤があります。
これが、測定ポイントごとにばらばらな数値だと支持盤の存在が見えにくいのですが、今回の様に全てが揃った数値であれば、安定して形成された強固な支持盤と考えて問題ないと思われます。

前に、ダムの設計をなさる方の住宅の増築をした事があります。その方は、
「ダムの場合は、強固な岩盤が出るまで、発破で土を吹き飛ばして行く。」
「住宅は、この様に探る様に考察して地盤を見極めるのは大変だ。」
そうなんです、木造2階建ての比較的軽量な建物ですから、強固な地盤が目視できるまで掘り進む事はありませんし(あと10cm~20cmであればやる事もあります)、軽量な建物にオーバークオリティーな基礎で予算の大半を使うような事も避けたいのです。

地盤調査
スクリューポイント

引き上げられたスクリューポイントの先端、匂いも確認いたします。調査員の方は「かすかな植物を感じさせるもの」。それは上部に着いている黒ぼくだと思われ、先端3cm位までに付いた明るい褐色の土質、砂というより火山灰が圧縮されて強固な地盤になったもののよう。

この辺りは、2万4千年前にあった黒斑山の山体崩壊から離山火山が出来たときに形成された地盤、地盤に棒を突き立てて、2万年前の地面との会話。

想像を巡らす楽しいひととき。


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