足場を解体致しました。
内山先生には、「なに、安く建てるなら全て解体して、ハウスメーカーに頼めばいい事は解っている。しかし、この山村にその建物が溶け込むかは別の問題だろうと思う。」
ホッサマグナの東端、谷と尾根が深く折りたたまれた地形、そこに繰り広げられる、人間の営みの美しさ。
足場を解体致しました。
内山先生には、「なに、安く建てるなら全て解体して、ハウスメーカーに頼めばいい事は解っている。しかし、この山村にその建物が溶け込むかは別の問題だろうと思う。」
ホッサマグナの東端、谷と尾根が深く折りたたまれた地形、そこに繰り広げられる、人間の営みの美しさ。
解体を進めている。2階にあった開かずの間、土壁で遮られ、家の中からは行けなかった部屋、近年の改修で天井にベニア板が張られていた。それを、取り除いたところ。
素性の良さそうな梁が現れた。
こちらは、床下に一間角の構造体を作り、貫でつなぎ合わせる。
表面に古い今までの表情を残しながら、内部に新しい材で背骨の様なものを構築する。
ここの床下は、下から見上げる事が出来るので、痛みのない古いものを、あえて残す。
貫に楔、そして込み栓。 フレームとしては柔らかいのだが、変形量が増えると耐力の増す「嵌合構造」。 (がんごうこうぞう)
フレームを油圧ジャッキで上げる。
7㌧ジャッキが渋くて上がらない。
実は、土壁を施工してある建物は、かなり重い。
柱の根の悪い所は、根継ぎをする。
ここで用いる樹種は、やはり、120年前の建築で結果の出ている栗。
根継ぎのための栗丸太、製材屋さんで6寸角の柱を採るところ。
森とつながっている建築は面白い。
過去とつながっている建築も面白い。
今まで100年の歳月をまたいで来た建物、出来る事なら、今後も、長持ちをさせたいと思います。
簡単な事の積み重ね、まずは、炭化させております。
国産唐松の大径木の赤身だけで、ご覧の様に四方柾の土台を、灯油バーナーで焙っております。
雨掛りは栗より強いではないかと言われる、大径木の唐松の心材、表情が美しいです。
その土台の臍穴を、ぶち抜きです。
長持ちをさせたい建物には、水を溜める容器は必要ないのです。
礎石の上の墨、これが通り芯です。
大工さんが、お賽銭を仕込みます。
この部分は、建物の出隅になり、雨掛かりが多くなる事が予想され、建物全体の弱点になる為、土台と柱脚を良く焙りました。
国産唐松の柾の木目、民芸の雰囲気で、とても美しいです。
礎石、手を掛けた土台の礎石との取り合い、強度を確保する為の込栓打ち込み、腐朽に対抗する為の炭化、全てが会い合わさり景色となっております。
必要と思われる事の積み重ねに「美」は現れ、魅せてやろうという心に「美」は失せる。
面白いですね。
哲学者の山の家です。
当初、コンクリートの基礎を計画しましたが、何か?この建物を「穢す」気がして、基礎屋さんに石を据えて貰いました。
築100年の建物、当然の事ながら、当初からの部分は、自然素材しかありません。
そうなると、コンクリートも何か違う気が致しました。
土台を敷く作業、礎石の形に土台を加工します。
天然石だから、簡単ではありません。
礎石に土台を乗せ、形を写して加工します。
微調整に入り、礎石の上に土台を乗せて叩きます。
赤いマジックで囲った所、土台が潰れ黒く鈍く光っております。
そこを微調整で削って行きます。
そんな事を何度か繰り返すと、礎石と土台が吸い付いたようになります。
大工さん、腕の見せ所。