設計理念



Mission

過去、この国にあった木造建築技術は世界のトップレベルでした。その多才な技術と研ぎ澄まされた感性により構成された空間は、目を見張るものがあります。それは有名な建築遺産だけに限ることではありません。山奥の寒村に残った建物にも、優れた空間構成力を感じさせられ驚く事があります。その建物は特別に優れた建築家や大工が建てたものではなく、寒村の一大工が建てたものであるに違いはない事により感慨深いものがあります。

近年に始まった住宅の「工場製品化」は人間の「住」の場として適切なものであるでしょうか?合理性と利便性の上に「住」を重ね合わせることは適切なことでしょうか?私たちは疑問を持ちます。

その昔に、寒村の一大工が丹念に空間構成し「場」を設え精神を宿し人間の住まうにふさわしい空間を造り出した様に、我々、造り手側も住まう人間もその建物を通し高められなくてはいけないと感じるこの頃です。


Vision

私たちは、21世紀を熟成の進んだ時代ととらえております。20世紀のようにパワー・スピードに形容される激動の時代より脱出し、精神面の充実がより重要視される時代と考えております。

今までの大量生産・大量消費は地球環境の悪化を招くばかりではなく人の心をまでも殺伐とさせて参りました。

これからは、その地点を通過するのではなく、一つのものに時間をかけてじっくり付き合って行く、云わば『静』に形容される時代が始りつつあると感じております。

今までのような限られた資源を使い、無計画な生産を繰り返す住宅建築は終止符が打たれなければならないと思います。人間に合った素材を用い「家庭の場」を提供できる住まいがこれからの時代には必要と感じております。

私たちは『木・土』をリサイクルできる資源、そして人間の安らぎの場にふさわしい素材と位置付け、提供する建物にふんだんに採り入れようと考えております。そしてメンテナンスがしやすい建築を目指しております。